2013年 01月 19日
腕組むばかり |
民家へ伺うと
よく引き取りを依頼されるもののひとつに人形があります。
小さなものから大きなものまで
ぬいぐるみから博多人形のようなものまで
娘さんがいらしたご家庭には雛人形が
物置や押入れの奥にあったりするのもお約束です。
世代の違いによる趣味や住宅事情も関係するのでしょうか
どれも引き取り手がないのが昨今の実情。
人の形をしているだけにゴミとして捨てるのは
なんとなくバチが当たりそうで
かといって遠くまで供養に出かけるのも億劫で
だからどうにかしてもらいたい
というお気持ちはよくよくわかるのですが
しかし、引き取ったところで
買い手がつかないのもまた実情。
互いに腕組み苦慮するところなのであります。
昔はどこへ行っても観光土産の定番だったこけしですが
これも時代なのでしょう
最近では見かけることが少なくなりましたね。
茶箪笥の中で、テレビの上で
何十年も立ち通しだったせいですっかり汚れてしまい
これではいよいよ行き場がなくなります。
いずれ供養に出すことになるかもしれませんが
ともかく、汚れを拭ってやります。
こけしの絵柄は絵の具のような顔料で描かれていることが多いうえ
古いものはクリアラッカーのような上塗りがありません。
洗ったり湿った布を使ったりすると
色が剥がれてしまいますから
乾いた布やブラシでそっと拭いたり払ったりするしかなく
元通りの姿に戻すのは困難です。
ほかにいい方法があればよいのですが。
こうしてひとつひとつ手にとってみると
絵柄の細やかさに感心します。
ビー玉ほどの小さな顔
口紅ほどしかない細い体に描いた目や唇、着物の柄は
極細の筆を使ったのでしょうが
髪の毛ほどの細い線や米粒にも満たない塗り分けは
ちょっと手先が器用な程度では
到底まねることはできないほどの繊細さ。
一体を仕上げるのにかかった手間を思うと
とても粗末には扱えません。
とはいえ、売り物にはならず
しかし、このまま箱の中で眠らせていてもと
憮然、どうしたものかと思うばかりであります。
by sparrowhouse
| 2013-01-19 11:22
| アンティーク